デ・トマソ「パンテーラ」はイタリアンスーパーカーですが、半分アメ車とも言われている希有なモデルです。
【画像】懐かしい! スーパーカーブームで名前を知った「デ・トマソ パンテーラ」を写真で見る(24枚)
パンテーラは、デ・トマソが1970年に発売したスーパースポーツモデルです。車体の設計・生産はイタリアのデ・トマソ社、エンジンの供給と販売はアメリカのフォードが担当したため、伊米合作と言われています。
デ・トマソの創始者アレッサンドロ・デ・トマソ氏は、フォードの当時の副社長リー・アイアコッカ氏と親しく、アイアコッカからスーパーカーの開発を打診されたことがパンテーラ開発のきっかけと言われています。
フォードには現在「GT」というスーパースポーツがあります。その初代が1969年まで販売されていた「GT40」で、当時のフォードは、そのイメージにならう安価(当時の9000ドルに設定)な新型のスーパースポーツの開発を模索し、デ・トマソに共同開発を打診しました。
販売目標は5000台/年。この数字を実現するためにイタリア側とアメリカ側が得意分野を持ち寄りました。車体の設計・生産はデ・トマソですが、現在の大手レーシングカーメーカーであるダラーラも参画しました。
車体は低コスト・多生産を実現するために、シャシーとボディを一体化したモノコック構造が用いられ、量産のしやすさを確立しました。
エンジンはフォードが供給。最初に搭載されたものは5.8リッターV型8気筒OHVのタイプで、そこに、トランスミッションメーカーZFの5速マニュアルギアが組み合わされました。
生産期間は長く、1970年〜1994年まで続けられました。途中、オイルショックによる販売不振により、フォードがパンテーラの販売を中止するという事態がありました(1975年)。しかしデ・トマソがパンテーラの権利をすべて取得することで生産と販売を続けました。
生産終了までにマイナーチェンジや高性能版の追加などがありました。高性能版の「GTS」が追加されたり、それをベースにレーシングマシンの公道対応版「GT4」や、その後継「GT5」とGT5の改良版「GT5S」、そして最終型として「SI」が制作されたりと、モデル末期まで進化が続きました。
パンテーラはいまでも50歳代以上の人には有名です。
週刊少年ジャンプで1975年から連載された池沢早人師氏の人気漫画「サーキットの狼」で、四国の獅子の愛車として登場しました。
スーパーカーブームの火付け役といわれる漫画、サーキットの狼に、当時の少年は心を踊らせました。実車を見たことがある人は少ないかもしれませんが、ロータス「ヨーロッパ」、ランボルギーニ「カウンタック」などとともに、いまもパンテーラの車名を覚えている人も多いはずです。
今回、米国のオークションBarrett-Jackson(バレット・ジャクソン)に出品されたモデルはパンテーラ「GT5」。
1985年型で、走行距離は7403マイル(1万1914km)となっています。エンジンは351CI(キュービックインチ:約5752cc)のV型8気筒OHVで最高出力は300psを発揮。トランスミッションは5速MTとなっています。
車体色はレッドで、内装はベージュの革張りとウッドパネルを装備。操作スイッチといった樹脂系のパーツは経年劣化こそあるものの、オリジナルを保っているようです。エアコンとパワーウインドウといった快適機能も装備。
入札価格は公表されていないものの、状態が良いため相当の値段がするでしょう。ちなみに日本国内にもごく少数のパンテーラが売られていますが、値段は「応談」。過去には1000万円で落札されたことがあるようです。
パンテーラGT5は、もともとの車体をワイドフェンダー化して大型のリアウイングを装着したもの。ヨーロッパらしいシャープなラインのボディにアメリカンらしいマッチョな雰囲気を加え、独特の存在感を出しています。
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デ・トマソの創業者、アレッサンドロ・デ・トマソ氏は、2003年5月21日に永眠しました。デ・トマソ自体も2004年に遺族によって解散しましたが、2019年に復活し新型車「P72」を発表しました。
P72は、5リッターのV型8気筒スーパーチャージドエンジン(最高出力760ps・最大トルク700Nm)を搭載しています。ボディは古のパンテーラとは違った流麗なラインで造形されていますが、非常に個性的です。
パンテーラが復活するかどうかは分かりませんが、新生デ・トマソの今後の展開が楽しみです。
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